大学からとんぼがえり

ポケモンのことについてつらつらと。

オンドゥル語しか知らないあなたへ~仮面ライダー剣のすゝめ~

 

そろそろサムネイルにフライゴンが並びすぎだと感じたのでたまには別のことも書こうと思います。ゆっけです。

たまにはオタクらしく布教の記事を書こうと思います。今回紹介する作品はこちら。

「仮面ライダーブレイド」の画像検索結果

 

仮面ライダー剣ブレイド)です。平成ライダー作品は気になったものから見ていてまだすべて見切れておらず、この作品は前から気になっていて最近ようやく完走したものですが、予想以上の面白さで熱が収まらないので記事にまとめることにしました。暇な人はお付き合いください。

以下常体。

 

<概要>

仮面ライダー剣は2004~2005年に放送された、平成ライダーとしては5作目の作品。モチーフはトランプで、それぞれのマークをモチーフにした4人の仮面ライダーを主軸にした物語。放映当時は視聴率、玩具の売り上げともに高いとは決して言えなかった。しかし、後半にかけて畳み掛けるストーリーやネタ要素などのため現在でも根強い人気があり、他のライダー作品にも客演として当時のキャストが出演するなど、今でもファンの多い作品である。この作品の魅力は大きく分けて3つあると考えられる。

 

魅力①少年心をくすぐる設定

この作品をざっくり説明すると、不死の生物=アンデッドと戦う戦士・仮面ライダーの活躍を描く物語である。

不死であるアンデッドはラウズカードと呼ばれるカードで封印しなければその活動を止めることはない。アンデッドはそれぞれ固有のカテゴリー(=数字)とスート(=マーク)を持ち、アンデッドが封印されたラウズカードにはそのアンデッドの絵とカテゴリー、スートが刻まれる(例:ギラファアンデッドはスートダイヤのカテゴリーキングであるため、カードには♢Kと記される)。

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仮面ライダーはラウズカードに封印されたアンデッドの力を専用の武器を介して使うことができる。この作品に出てくる4人の仮面ライダーはそれぞれのスートをモチーフにしており、主としてモチーフとなったスートのカードを用いて戦う。

ラウズカードは複数枚同時に使うことができ、特定のカードを組み合わせることでコンボを発動させることができる(例:♢5 DROP+♢6 FIRE+♢9 GEMINI = バーニングディバイド)。

この作品の仮面ライダーの使命は、もともとラウズカードに封印されていたが何者かの手によって封印を解かれた53体の不死の生物=アンデッドを全てラウズカードに再び封印することである。それぞれのスートをつかさどる4人の仮面ライダー、アンデッドを封印する度に強くなる仮面ライダーたち…どうですかねこの設定。少年心というかオタク心にはぶっ刺さりだと思うんですが。

 

魅力②個性的な4人の仮面ライダーとストーリー

前述のとおりこの作品には4人の仮面ライダーが登場する。

・剣崎一真仮面ライダーブレイド

「仮面ライダーブレイド」の画像検索結果

この物語の主人公で、人類基盤史研究所=BOARDに所属する青年。スートスペードのカテゴリーAのカードでBOARDが作った2作目のライダー=ブレイドに変身する。幼少期に家族を火事で失い、眼前に家族がいながら助けられなかったという過去を持つ。そのため、多くの人を救いたいという強い信念があり、そのために奔走する。変身の際重要になるいわばアンデッドとの相性の良さ=融合係数が異常に高く、その力は物語終盤になるにつれ覚醒していく。

その性格は非常にまっすぐで、最後まで人々を守りたいという信念を貫いて戦う。人々を守るためには自分の身をも厭わない性格で、この性格、そして異常なまでの融合係数の高さが最終回の展開を招いてしまったと言えよう。

演じる椿隆之氏の滑舌の悪さは余りにも有名。「本当に裏切ったんですか!」が「オンドゥルルラギッタンディスカー!」に聞こえたり「嘘だそんなこと!」が「ウソダドンドコドーン!」に聞こえたりしてしまう。いわゆるオンドゥル語もこの人が由来。

 

・橘朔也/仮面ライダーギャレン

「仮面ライダーギャレン」の画像検索結果

BOARDに所属する剣崎の先輩にあたる青年。スートダイヤのカテゴリーAのカードでBOARDが作った1作目のライダー=ギャレンに変身する。もともと戦闘員としてではなく研究員としてBOARDに入所したが、先代ギャレンの事故、自身のカテゴリーAとの融合係数を買われライダーになることに。正義感が強く真面目な性格ではあるが、ある意味突然ライダーとして戦う運命を背負うことになり、戦いへの恐怖心に囚われ戦えなくなったり、その真面目さゆえに敵に洗脳されたり騙されたりすることもあった。恐怖心に囚われていた橘は大学の同級生であり唯一の理解者である深沢小夜子に支えられていた。しかし、彼を洗脳していた、人間に擬態できる上級アンデッド・ピーコックアンデッド=伊坂は彼女の存在を良くは思わず…。物語序盤は橘の苦悩、葛藤、伊坂との決着を焦点に物語が進行する。

このように有体に言えばヘタレであり、雑魚アンデッドには苦戦するが、物語の要所要所、ボスキャラ相手には無類の強さを発揮する。これはライダーシステムには使用者の感情が昂れば昂るほど性能が向上するという機能があるためである。このことからファンの間では「肝心な時にしか役に立たない男」「格上キラー」など愛のこもった渾名がつけられている。

演じる天野浩成氏の滑舌の悪さも椿氏に負けず劣らずである(例:もういい!→モアイ!、俺の体はボロボロだ!→オデノカラダハボドボドダ!)。また天野氏本人の天然さが役柄にも出ており、平成ライダー屈指のネタキャラとして現在でも根強い人気を誇る。

 

・相川始/仮面ライダーカリス

「仮面ライダーカリス」の画像検索結果

スートハートのカテゴリーAのカードでカリスに変身する謎の青年。普段は喫茶店「JACARANDA」に居候している。人との関りをあまり好まないが、喫茶店を営む栗原親子が危機にさらされた時には感情を露わにし戦う。アンデッド同士の戦いに栗原家の父を巻き込んで死亡させてしまい、死に際の栗原氏に家族の写真を託され、そのため喫茶店へと行きつくことになった。BOARDのシステムとは違う方法でカリスに変身し、作中でも序盤に彼が人間ではなくアンデッドであることが示唆される。アンデッドであるためか栗原親子以外の人間とはかかわりを持とうとせず、作中序盤では剣崎や他のライダーと対立することもしばしばあった。しかし、栗原親子や剣崎、多くの人間の感情に触れることで彼の中にいつしか人間の中で生きていきたいという意識が芽生えるようになる。しかし、アンデッドである彼の本能がそれを許さない。また、アンデッドであることは示唆されたものの物語終盤までは彼のスート・カテゴリーは明らかにされない。アンデッドの存在理由、その目的、始の本当の正体が明らかにされ、物語は終幕へと急展開する。

 

・上城睦月/仮面ライダーレンゲル

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スートクラブのカテゴリーAのカードで仮面ライダーレンゲルに変身する高校生。強化フォームの無かった物語中盤ではその高性能ゆえに他のライダーやアンデッドを圧倒していた。もとは伊坂がBOARDの所長や職員を洗脳して作らせたライダーシステムであり、睦月はスートクラブのカテゴリーA=スパイダーアンデッドによって無作為に見いだされた適合者である。そのため、他のライダーのように戦うための確固たる理由を持ち合わせておらず、戦う理由を求めて悩むこともあった。幼少期に誘拐された過去があり、その心の闇に封印が不完全であったスパイダーアンデッドにつけこまれ心を支配され、他のライダーと対立していた。物語中盤では、睦月の様々な葛藤、自身との戦い、スパイダーアンデッドとの決着が主軸に話が進んでゆく。物語中盤の主人公は彼と言えよう。

基本的に橘以外のライダーは人の話を聞かない傾向にあるため、序盤では対立することが多い。しかし、物語が進行するにつれ彼らの成長、和解とともに見られる共闘シーンには心を動かされるだろう。

前述のとおりこの作品にはいくつかの山があり、

序盤:橘と伊坂の決着

中盤:レンゲルの登場、睦月の自身やスパイダーアンデッドとの戦い、人工アンデッド・トライアルシリーズとの戦い

終盤:アンデッドの存在理由、始の正体、剣崎の決断

これらが見どころであると筆者は考える。特に最終回の展開は衝撃的であり、この作品の根強い人気の理由となっている。全49話と確かに気軽に視聴できる話数ではないかもしれないが、その長さ故の最終話のカタルシスがこの作品の最大の魅力である。

 

魅力③ライダー作品に受け継がれる要素

ここからはやや特撮オタク向けになるかもしれないが大事な魅力であるのでここに書いておく。

・ベルトの変身機構

今でこそメジャーになった「バックルを腰にあてるとベルトが自動的に出て来て腰に巻きつく」というシステム、実は平成ライダーではこの作品が初である。それまでのライダーはベルトそのものが出現したり装着するスタイルであったが(カリスはやはりベルト自体が出現するスタイルである)、そのスタイルからするとこの変身機構は当時の視聴者には新鮮であったと考えられる。このスタイルは平成2期ライダーではもはや主流となった。

・怪人化のリスクを伴う変身

そもそもアンデッドの力を借りて戦うライダーシステム自体が、他のアンデッドの力を使うことができるある特別なアンデッドの力を再現したものであるため、その力を使いすぎることはすなわち変身者のアンデッド化を促すことにつながる。もともと仮面ライダーという存在自体が敵の力を使って戦うものであるが、敵怪人になっていしまうリスクを孕んでいるという設定はそれまでのライダーと比べても珍しい設定であったと言える。このような設定は仮面ライダーオーズ仮面ライダー鎧武などに引き継がれている。

 

いかがでしょうか。本当はもっと色々書きたいんだけどこれ以上のネタバレは全て見終わった後の感動の邪魔になりかねないので書けませんでした…。オンドゥル語ばかりが有名な作品ですが、そのストーリーはシリアスそのものです。僕もここまでハマるとは思いませんでした。とにかく最終回がヤバい。この最終回のための48話。これを読んで少しでも興味を持ったらちょっとずつでいいから見てみてください…今ならアマゾンプライムとか東映特撮ファンクラブとかで見れるから…。ネタとシリアスを一度に楽しめる、それが仮面ライダー剣です。

たまにはこういう完全に趣味全開の記事も書いていきたいですね、ウルトラマンガイアとかみんなに布教したい。

ここまで読んでくださった方(いるのか?)、ありがとうございました!それでは~。